こんにちは、理学療法士のヒロです。
病院勤務から訪問リハの現場に飛び込んだとき、正直こう思いました。
「これは…想像以上にハードかも。」
移動は多いし、1人で判断しなきゃいけない場面もある。
正直、精神的にも体力的にもラクとは言えません。
それでも僕は、「訪問リハを選んでよかった」と胸を張って言えます。
なぜか?
それは、この仕事ならではの「やりがい」を感じる瞬間があるからです。
今回は、実際に訪問リハの現場で働く中で僕が感じた、
理学療法士としてのやりがい5選を、リアルな視点でお伝えしていきます。
・病院勤務にモヤモヤを感じている
・訪問リハに興味はあるけど、不安が先に立って踏み出せない
・キャリアの方向性に悩んでいる
新たな視野を広げるきっかけになれば嬉しいです。
① 訪問リハビリ、正直しんどい?どんな仕事?
毎日の訪問先への移動、重い荷物、予期せぬトラブル…。
病院勤務のリハビリとは違う。
僕自身、最初は病院勤務からの転職で訪問リハビリの世界に入りました。
正直なところ、最初の数ヶ月は“カルチャーショック”の連続。
では実際、訪問リハビリの仕事ってどんなものか?
ざっくりお伝えすると、以下のような感じです。
🔹 一日の流れ(例)
朝、事業所で準備をしてから、車やバイク、自転車などでご利用者さんのご自宅へ。
1件あたり40〜60分のリハビリを、1日5〜6件程度まわるのが一般的です。
午前2件、昼休憩をはさみ、午後に3〜4件まわって事務所に戻り、
記録や報告書作成などの事務仕事をして終了、というのが定番のスケジュール。
🔹 病院と違うポイントは?
一番の違いは「生活の場でリハビリをする」ということ。
病院のようにベッドや平行棒があるわけではなく、
実際の生活空間(畳・フローリング・段差のある玄関など)で、
ご本人の“暮らし”に直結したリハビリを提供します。
たとえば――
- 玄関の段差を安全に上がれるように練習する
- キッチンで料理を再開するための動作確認
- ベッドからの起き上がりをスムーズにする練習
- 家族への介助指導
こういった、リアルな「生活に直結する支援」ができるのが訪問リハの大きな特徴です。
訪問リハビリを始めた当初は「こんなはずじゃなかった」と何度も思いました。
でも、今では「この仕事を選んで本当によかった」と心から思えるようになったんです。
この記事を読んでくれているということは、きっとあなたも同じような悩みを抱えているはず。
もしかすると、転職を考えているかもしれませんね。
でも、ちょっと待ってください。
訪問リハビリには、病院では絶対に味わえない「特別なやりがい」があるんです。
② 現役訪問PT・10年目の本音をお話しします
私は現在、訪問リハビリテーション事業所で理学療法士として働いて10年目になります。
【経歴】
- 理学療法士歴:10年
- 病院勤務:3年
- 訪問リハビリ:7年(現在)
- 担当利用者数:平均35名/月
正直に言うと、私も最初は「訪問リハビリってラクそう」という軽い気持ちで転職しました。
病院での激務に疲れ果てていたし、「一対一でゆっくり患者さんと向き合えるなんて理想的」だと思っていたんです。
でも現実は全然違いました。
移動の大変さ、天候に左右される辛さ、家族との関係性の難しさ…。
「こんなはずじゃなかった」と後悔した日も数えきれません。
でも、それでも私がここまで続けてこられたのには理由があります。
この記事では、私の実体験を踏まえながら、訪問リハビリの本当のやりがいについてお話しします。
③ 訪問リハビリでの悩み
訪問リハビリで働く理学療法士の多くが感じている悩み。
あなたも、こんな風に感じていませんか?
【身体的な辛さ】
- 一日中車で移動して腰が痛い
- 重い荷物を持っての移動がしんどい
- 雨の日や雪の日の移動が憂鬱
- 夏は暑くて冬は寒い中での移動
【精神的な疲れ】
- 利用者さんの家族との関係に気を使う
- 一人での訪問が不安
- 効果が見えにくくてモチベーションが下がる
- 同僚との連携が取りにくい
【将来への不安】
- スキルアップできているか分からない
- 病院に戻れるか心配
- 給与面での不安
- キャリアの方向性が見えない
このような悩みを持っていました。
特に始めたての頃は、毎日が苦痛で仕方なかったんです。
でも、これらの悩みは…。
実は、訪問リハビリならではの「やりがい」と表裏一体なんです。
④ 苦労の先にある、本当のやりがい
私がここまで続けてこられた理由。
それは、病院では絶対に味わえない特別な瞬間があるからです。
【体験談①:退院支援】
3ヶ月間寝たきりだった80代の男性利用者さん。
奥様から「もう一度、一緒に散歩がしたい」という切実な想いを聞いて、私は必死にリハビリプランを立てました。
毎日の訪問で少しずつ筋力が回復し、ついに歩行器で歩けるようになった日。
奥様と手をつないで庭を歩く姿を見た時、私も感動しました。
「リハビリの先生のおかげで、もう一度夢が叶いました」
その言葉を聞いた瞬間、すべての苦労が報われたんです。
【体験談②:家族全員が変わった瞬間】
脳梗塞後遺症の60代男性。
最初は家族全員が介護に疲れ果てていました。
でも、私が訪問を続けるうちに、利用者さんだけでなく家族の表情も明るくなっていったんです。
「理学療法士さんが来てくれるようになってから、家族みんなが笑顔になりました」
これって、病院では絶対に見ることができない変化でした。
【訪問リハビリだからこそ見える世界】
- 利用者さんの本当の生活環境
- 家族との関係性の変化
- 地域とのつながり
- 長期的な変化の実感
でも、これはほんの一部。
本当のやりがいは、もっと深いところにあるんです。
⑤訪問リハビリのやりがい5選
ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。
正直に言うと、私がここまで紹介したのは「表面的なやりがい」に過ぎません。
訪問リハビリの本当のやりがいは、もっと深く、もっと人生を変えるような体験なんです。
私がここで学んだすべてを、お話しします。
きっと、あなたの訪問リハビリに対する見方が180度変わるはずです。
⑥訪問リハビリのやりがい5選
やりがい①:「人生の最後の瞬間」に立ち会える特別な体験
訪問リハビリでしか味わえない最大のやりがい。
それは、利用者さんの「人生の最後の時間」に寄り添えることです。
【85歳・末期がんの女性との出会い】
彼女は余命3ヶ月と宣告されていました。
「最後にもう一度、自分の足で庭の花を見に行きたい」
そんな願いを叶えるために、私は毎日のように訪問しました。
体力が落ちていく中でも、彼女の意志は強く、私たちは二人三脚で歩行訓練を続けました。
そして、ついにその日がきました。
歩行器を使って、ゆっくりと庭に出る彼女。
満開の桜を見上げながら、静かに涙を流していました。
「ありがとう。これで思い残すことがない」
その3日後、彼女は静かに息を引き取りました。
【この体験から学んだこと】
理学療法士として、私たちは人の「最後の願い」を叶える仕事をしています。
これは病院では絶対に体験できない、訪問リハビリだからこその特権です。
私たちの技術が、誰かの人生の最後を豊かにできる。
こんなに意味のある仕事が、他にあるでしょうか。
やりがい②:家族の絆を深める「架け橋」になれる
訪問リハビリの現場では、利用者さんだけでなく家族も含めた「チーム」として関わります。
【介護疲れで崩壊寸前だった家族の変化】
70代の男性利用者さん。奥様が一人で介護を抱え込んでいました。
息子さんも仕事で忙しく、家族の関係はギクシャクしていました。
私が訪問を始めた当初、家の中は重苦しい空気に包まれていました。
でも、私は利用者さんのリハビリだけでなく、家族の心のケアも意識しました。
奥様には介護のコツを教え、息子さんには父親の状態を丁寧に説明しました。
3ヶ月後、その家族は見違えるように変わっていました。
利用者さんの機能が向上したことで、奥様の介護負担が軽減。
息子さんも積極的に介護に参加するようになり、家族の会話が増えました。
「理学療法士さんが来てくれてから、家族がまた一つになりました」
【家族の絆を深める具体的な方法】
- 家族全員に分かりやすい説明をする
- 介護のコツを実際に見せながら教える
- 利用者さんの小さな変化も家族に伝える
- 家族の気持ちに寄り添う
やりがい③:地域に根差した「かかりつけPT」になれる
訪問リハビリは、地域密着型のサービスです。
長期間同じ利用者さんと関わることで、まさに「かかりつけの理学療法士」になれます。
【5年間続けた関係性の深さ】
私が担当している75歳の女性利用者さん。
最初は歩行困難でしたが、今では近所の買い物に一人で行けるようになりました。
5年間という長い時間をかけて、私たちは信頼関係を築いてきました。
彼女にとって私は、もはや理学療法士を超えた存在です。
体の不調があれば真っ先に相談してくれるし、家族の悩みも聞かせてくれます。
「田中さんがいてくれるから、安心して生活できる」
【かかりつけPTになるメリット】
- 利用者さんの変化を長期的に見守れる
- 深い信頼関係が築ける
- 地域での存在価値が高まる
- 仕事に対する誇りが生まれる
やりがい④:「生活の質」を本当の意味で向上させられる
病院でのリハビリは、どうしても「機能回復」に重点が置かれがちです。
でも、訪問リハビリでは「生活の質」を直接的に向上させることができます。
【階段が上れるようになった瞬間】
脳梗塞後遺症の65歳男性。
2階建ての家に住んでいましたが、階段が上れずに1階での生活を余儀なくされていました。
「もう一度、2階の書斎で本を読みたい」
そんな願いを叶えるために、私は実際の階段を使った訓練を行いました。
手すりの取り付け位置から、上り方のコツまで、実際の生活環境に合わせて指導。
3ヶ月後、ついに一人で2階に上がれるようになりました。
久しぶりに書斎で本を読む彼の表情は、本当に幸せそうでした。
【生活の質を向上させる具体的なアプローチ】
- 実際の生活環境での訓練
- 本人の「やりたいこと」を目標にする
- 家族の生活パターンに合わせた指導
- 環境整備のアドバイス
やりがい⑤:自分自身が人間として成長できる
訪問リハビリでは、技術的なスキルだけでなく、人間性も求められます。
【利用者さんから学んだ人生の智慧】
90歳の女性利用者さんから教わったことがあります。
「人生は思い通りにならないことの方が多い。でも、その中で小さな幸せを見つけることが大切よ」
彼女は戦争を経験し、夫を亡くし、病気と闘いながらも、いつも笑顔を絶やしませんでした。
その姿勢は、私の人生観を大きく変えました。
【成長できる具体的な能力】
- コミュニケーション能力
- 問題解決能力
- 忍耐力
- 共感力
- 人生を俯瞰する視点
【辛い時期を乗り越えるメンタルコントロール術】
- 小さな変化を見逃さない習慣をつける
- 利用者さんの笑顔を写真で記録する
- 家族からの感謝の言葉をメモに残す
- 同僚との情報共有を大切にする
- 定期的に初心を思い出す時間を作る
【訪問リハビリを天職にする考え方】
- 「治す」ではなく「支える」という意識
- 利用者さんの人生に寄り添う姿勢
- 小さな変化を喜べる感性
- 地域の一員としての責任感
- 長期的な視点での関わり
⑦ まとめ:あなたの選択が、誰かの人生を変える
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
訪問リハビリの仕事は、確かに大変です。
移動の疲れ、天候の影響、人間関係の複雑さ…。
でも、それ以上に大きなやりがいと成長があります。
私が7年間続けてこられたのは、このやりがいがあったからです。
【あなたに伝えたいメッセージ】
もし今、訪問リハビリの仕事に疑問を感じているなら、もう少しだけ続けてみてください。
きっと、私が感じたような特別な瞬間に出会えるはずです。
もし転職を考えているなら、まず今の職場で「やりがい」を見つける努力をしてみてください。
あなたの理学療法士としての技術と想いが、必ず誰かの人生を変える力になります。
【今日から始められること】
- 利用者さんの小さな変化に注目する
- 家族の話をじっくり聞く
- 地域の一員として責任を持つ
- 長期的な視点で関わる
- 自分の成長を実感する
訪問リハビリは、理学療法士にとって最もやりがいのある仕事の一つです。
あなたの存在が、今日も誰かの希望になっている。
そのことを忘れないでくださいね。
一緒に、素晴らしい訪問リハビリの世界を築いていきましょう。
最後に、一言だけ。
あなたが今日も現場に向かってくれることに、心から感謝しています。
理学療法士として、人として、あなたの価値は計り知れません。
応援しています!
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